初詣に行ったから宗教に目覚めたわけではない。昨年は姪がチャペルでキリスト教式の結婚式をし、続いて娘が神式で三々九度の結婚式を挙げたから興味を持ったわけではない。
我が家は浄土真宗だが、夫は次男だから(というわけでもないが)仏壇はない。娘たちは高校までカソリックのミッションスクールに通った。その後長女は、日本文化を学ぶために國學院大学で神職の資格までとってしまった。全く宗教色のない生活をしていながら、どこかで宗教とつながっている。
グローバル人材育成には海外の現地の文化を知ることが重要であり、そのためには宗教について知っておくことは不可欠だと思っている。しかし、宗教オタクでない限り系統だって学ぶことはしないのではないか。私自身も、問題意識は持っていたものの、いまひとつ踏み切れずにいた。
そんな時に書店で見つけたのが本書である。
橋爪大三郎著「世界は宗教で動いている」:光文社新書
丸の内シティキャンパスでの「宗教で読み解く世界」というビジネスマン向けの講義に基づいているのでとても分かりやすい。しかも、受講生と講師の対話形式になっているので納得しながら読み進められる。入門書としてはとても良い本だと思った。
私は宗教については素人なので、全てが新たな知識であり、どれも、現実問題と照らし合わせてなるほど、と思える。逆に、何かの宗教を信じていたら、これほど素直に読み進めなかったかもしれない。
俯瞰してみれば興味深い宗教。中に踏み込む気にはまだなれない。グローバル人材としては俯瞰することが重要かと思う。
2014年01月06日
「世界は宗教で動いている」でグローバルビジネスの基礎を学ぶ
posted by 石田厚子 at 14:33| Comment(0)
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「2030年世界はこう変わる」で頭の整理
9日間の年末年始休暇が終わった。と言っても、自営業(自由業)の私には関係ない。いつもの通り犬の散歩をして、気になっていたことから順番にやっているだけである。ちなみに今日最初にしたことは、e-Taxのための電子証明書申請の書類に必要事項を記入し、それに先だって発行してもらわなければならない住民記録カード用の写真をサイズに合わせて切り取ったことである。
年末年始の前半は主婦として忙しかったが、後半はのんびりできたので、買って読まずに置いていた本を読むことにした。そのうちの一冊がこの本である。
米国国家情報会議編「2030年世界はこう変わる」(アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」):講談社
読むのにかかった時間は4時間だった。
序文で立花隆氏が「本書を誤読する人と精読する人では大きな差がつくだろう」と書いているが、精読したとは言えないだろう。でも、誤読もしていないんじゃないか。
本文は、3つの章に分かれている。
第1章は、4つのメガトレンド(2030年の世界を決める4つの構造変化)である。
@ 個人の力の拡大
A 権力の拡散
B 人口構成の変化
C 食糧・水・エネルギー問題の連鎖
第2章は、6つのゲーム・チェンジャー(世界の流れを変える6つの要素)
@ 危機を頻発する世界経済
A 変化に乗り遅れる「国家の統治力」
B 高まる「大国」衝突の可能性
C 広がる地域紛争
D 最新技術の影響力
E 変わる米国の役割
ここまで読んだ後、第3章でいくつかの物語が語られる。これがとても面白い。
第3章は、4つのオールターナティブ・ワールド(2030年4つの異なる世界)
シナリオ1:「欧米没落型」
シナリオ2:「米中協調」
シナリオ3:「格差支配」
シナリオ4:「非政府主導」
2030年まであと16年。私は81歳から82歳。当然生きている(つもり)。そんなに先ではない。でも、ここに書かれている内容よりも大きな変化があるように思える。言い換えれば、どのようなストーリーを描いても現在の延長線上でしか考えられないのでそれほど違和感はない。
精読しても誤読しても、それほどの違いがあるようにも思えないのだが。
将来の予測は難しい。でも、本書のように頭を整理することは過ちを最小限にする道かもしれない。
年末年始の前半は主婦として忙しかったが、後半はのんびりできたので、買って読まずに置いていた本を読むことにした。そのうちの一冊がこの本である。
米国国家情報会議編「2030年世界はこう変わる」(アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」):講談社
読むのにかかった時間は4時間だった。
序文で立花隆氏が「本書を誤読する人と精読する人では大きな差がつくだろう」と書いているが、精読したとは言えないだろう。でも、誤読もしていないんじゃないか。
本文は、3つの章に分かれている。
第1章は、4つのメガトレンド(2030年の世界を決める4つの構造変化)である。
@ 個人の力の拡大
A 権力の拡散
B 人口構成の変化
C 食糧・水・エネルギー問題の連鎖
第2章は、6つのゲーム・チェンジャー(世界の流れを変える6つの要素)
@ 危機を頻発する世界経済
A 変化に乗り遅れる「国家の統治力」
B 高まる「大国」衝突の可能性
C 広がる地域紛争
D 最新技術の影響力
E 変わる米国の役割
ここまで読んだ後、第3章でいくつかの物語が語られる。これがとても面白い。
第3章は、4つのオールターナティブ・ワールド(2030年4つの異なる世界)
シナリオ1:「欧米没落型」
シナリオ2:「米中協調」
シナリオ3:「格差支配」
シナリオ4:「非政府主導」
2030年まであと16年。私は81歳から82歳。当然生きている(つもり)。そんなに先ではない。でも、ここに書かれている内容よりも大きな変化があるように思える。言い換えれば、どのようなストーリーを描いても現在の延長線上でしか考えられないのでそれほど違和感はない。
精読しても誤読しても、それほどの違いがあるようにも思えないのだが。
将来の予測は難しい。でも、本書のように頭を整理することは過ちを最小限にする道かもしれない。
posted by 石田厚子 at 14:05| Comment(0)
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2014年01月03日
「なぜ危機に気づけなかったのか」で問題発見力醸成について考える
大学のプロジェクト型の教育カリキュラムを調べてみたところ、短期間で結果を出させるためか、提供された問題をチームで解決に導く、というものだった。ケースを使った研修も、自分で問題を発見させるというより、問題は(後付けで)見えていて、それをどう解決したかが主眼になってしまう。問題発見からの研修だと、様々な問題の解決策をそろえる必要があり、準備も大変である。だから、とりあえず、一番可能性のありそうな問題から出発することになってしまう。でも、今本当に必要なのは、正しく問題を発見することなのである。なぜなら、問題さえ明確になっていれば、世界中の人の知恵を借りて解決することが可能だからである。
マイケル・A・ロベルト著「なぜ危機に気づけなかったのか」(組織を救うリーダーの問題発見力):英治出版 は、そのような問題意識から読むことにした。
本書はそもそも、リーダーが読むべき本という位置づけだと思う。私のような読み方は特殊かもしれない。ここで書かれている「優れた問題の発見者になるためにリーダーが身につけるべき七つのスキル」は、
@ 情報のフィルターを避ける
A 人類学者のように観察する
B パターンを探し、見分ける
C バラバラの点を線でつなぐ
D 価値ある失敗を奨励する
E 話し方と聴き方を訓練する
F 行動を振り返り、反省のプロになる
である。いずれも、特別変わった内容ではなく、色々なところで語られているものだと思う。
ただ、私は、自分の問題意識から次の点に注目した。
率直で効果的な話し方
・聞き手のことを知る
・これまでのいきさつを理解する
・支持者を探し同盟を組む
・腹心やゲートキーパーを通じて働きかける
・まず考え方を変えさせることに焦点を絞る
・解決の選択肢を提示する
聴き方についての指南はかなり多く見受けられるが、効果的な話し方については(プレゼンテーション・スキル以外は)あまりお目にかかれない。これは学ぶべきだと思う。
さらに、問題発見には「知的好奇心」が必要だということ。疑問を持てばインターネットの力を借りれば知識は得られる。そもそも関心を抱かなければ何も始まらない。
年を取ると好奇心が失われるという。知的好奇心を持ち続けることは、リスクマネジメントにも重要である。
マイケル・A・ロベルト著「なぜ危機に気づけなかったのか」(組織を救うリーダーの問題発見力):英治出版 は、そのような問題意識から読むことにした。
本書はそもそも、リーダーが読むべき本という位置づけだと思う。私のような読み方は特殊かもしれない。ここで書かれている「優れた問題の発見者になるためにリーダーが身につけるべき七つのスキル」は、
@ 情報のフィルターを避ける
A 人類学者のように観察する
B パターンを探し、見分ける
C バラバラの点を線でつなぐ
D 価値ある失敗を奨励する
E 話し方と聴き方を訓練する
F 行動を振り返り、反省のプロになる
である。いずれも、特別変わった内容ではなく、色々なところで語られているものだと思う。
ただ、私は、自分の問題意識から次の点に注目した。
率直で効果的な話し方
・聞き手のことを知る
・これまでのいきさつを理解する
・支持者を探し同盟を組む
・腹心やゲートキーパーを通じて働きかける
・まず考え方を変えさせることに焦点を絞る
・解決の選択肢を提示する
聴き方についての指南はかなり多く見受けられるが、効果的な話し方については(プレゼンテーション・スキル以外は)あまりお目にかかれない。これは学ぶべきだと思う。
さらに、問題発見には「知的好奇心」が必要だということ。疑問を持てばインターネットの力を借りれば知識は得られる。そもそも関心を抱かなければ何も始まらない。
年を取ると好奇心が失われるという。知的好奇心を持ち続けることは、リスクマネジメントにも重要である。
posted by 石田厚子 at 14:00| Comment(0)
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