2014年03月05日

「里山資本主義」を読みつつビットコインを考える

仮想通貨(お金ではなくモノということになったようだが)ビットコインが破たんするのでは、と騒がれている。ビットコインの理論的な元になっている中本哲史氏の論文を読んでみたが、私の頭ではよくわからない。でも、これに基づいてビットコインが実現し、現に流通しているのだから、理論的に正しいと多くの頭の良い人たちが認めたのだ。しかし、実現したはずのシステムをハッカーは破ってしまった。お金だかモノだか知らないが、こんな実体のないものを信じる人間いることが信じられない。ビットコインの価値が上がれば幸せになると思っているのだろうか。それが豊かさなのだろうか。

そんなとき、たまたま読んだ本が
藻谷浩介、NHK広島取材班 著「里山資本主義」(日本経済は「安心の原理」で動く):角川oneテーマ21 である。

ブルーの空と緑の大地のカバー写真、「里山」という言葉のイメージから、お口直しができるのでは、と手に取ったのである。鉄腕ダッシュのダッシュ村のイメージでもある。
事例が沢山ある。中国山地の岡山県真庭市の木材によるエネルギー革命、オーストリアのペレット・ボイラーによる地域ぐるみのエネルギー利用、広島県庄原市の過疎の村でのお年寄りの助け合い、など、どれもが心洗われる、いい話ばかりである。
想像してみる。灯油の缶で作ったエコストーブで美味しいご飯を炊く私。木材を張り合わせて作った建材(CLT)で建てたマンションで暮らす私、自分の家の畑でできた野菜を近所で融通し合って美味しく食べている私。
でも、現実はそう甘くはないことはよく分かっている。都会が好きな私が里山で暮らせるわけはない。毎日エコストーブでご飯を炊くなど面倒でできない。野菜を育てるなんて無理。これは夢の世界なのだ。

でも、里山に暮らさなくてもできることはある。無駄にエネルギーを使ってはいないか、常に考えて生活に工夫を凝らすこと。最初から無理と決めつけないで、できることからやっていくこと。
そして、一番考えなければならないのは、幸せとは何かということ。

「里山資本主義」が難しいエネルギー問題を一刀両断に解決できるなどと思ってはならない。これは、意識転換のきっかけの書なのである。
posted by 石田厚子 at 17:43| Comment(0) | 本を読む

2014年02月05日

「道をひらく」で時を超えて変わらないものを知る

私が初めて社会人になった42年前、当時81歳だった祖父にこう言われた。
「部長になったつもりで自分のことを見てみなさい。もしも、こいつは役に立たない、と思ったら、すぐに辞めるべきだ。」
自分を自分で評価するのではなく、上司の目で評価する。同様な考え方は、製品を評価するのは作り手ではなくユーザ、さらには市場である、ということにつながる。
120歳を超えた先輩(私の祖父)の言葉は、現代でも決して色あせてはおらず、真実を伝えている。

松下幸之助著「道をひらく」:PHP研究所
を読んだとき、祖父の言葉を思い出した。
なぜ、この本が500万部以上売れているのか、なぜ今も書店で平積みになっているのか、すぐに分かった。時を超えて変わらない真実が書かれているからである。
私自身が大切にしてきたことが、言葉は変わってもちゃんと入っていることも嬉しい。

一つだけ、目からウロコが落ちた部分を紹介する。
「ピンとくる」という項である。概略だけを書いてみる。

人間の身体の仕組みは複雑で巧みにできている。それほどに複雑で大きいにもかかわらず、足の先を針の先でちょっとつついても、頭にすぐピンとくる。すみずみにまで神経がこまかくゆきとどいて、どんなところのどんな小さな変化でも、間髪を入れずに頭に知らせる。だから機敏にして適切な行動もとれる。人のつくったいかなる組織もピンとくる間髪を入れずの反応が示せるかどうか、もう一度思いをめぐらしたい。

まさに、万人に問うべきことではないか。国家のような大きな組織もそうだが、家庭という小さな単位の組織であっても、これは真実である。

自分で学ぶだけでなく、次の世代にも伝えていきたい。
posted by 石田厚子 at 18:13| Comment(0) | 本を読む

2014年01月23日

「TEDトーク」のテクニックで百人力といくかしら?

1か月後に、ある会合で講演をすることになっている。
これまで、講演やセミナーといったものの経験は結構あるつもりである。ただし、それは会社の社員としての肩書で行っていたもので、お仕事の一環としての認識しかなかった。しかし、今度は、自営業者としての私個人の講演である。有名人でもなく後ろ盾のない65歳の女性など「誰?この人」と思われるのが落ちである。
そうは言っても、依頼してくれる人たちがいたのだし、私には聴きに来て下さる方々に伝えたいことがある。何とかうまく伝える方法を考えなければならない。
そんな私が、仕事先の近くの書店で見つけたのが本書だった。

ジェレミー・ドノバン著「TEDトーク 世界最高のプレゼン術」:新潮社

2013年7月に出た本なのに10刷になっている。私と同じようにプレゼンに悩む人は多いのだろう。
TEDについては関心を持っていた。有名プレゼンターの動画を観たことがある。日本でのTEDxを聴講しようとして申し込んだが外れた経験もある。正直なところ、日本人相手の講演には役立つのかなという気がしないでもなかったが、読み始めてたちまちのめりこんでしまった。

目次を見る限りは、プレゼンテーションの研修などで言われていることと特段違った内容には見えないのだが、例を挙げて説明されているので、まるで本物のプレゼンに接したかのように納得がいく。
何ページか読んでは、自分の講演のストーリーを考え、また次の何ページかを読んで考える、といった繰り返しで、心に染み込ませていった。

ゆっくり読んだのだが時間的には半日で読了。あとは実際に講演内容を組み立てて練習しなければならない。その際は、本書を読み返していくことになるだろう。
posted by 石田厚子 at 10:49| Comment(0) | 本を読む