8月に定年退職した会社では人材育成を担当していた。そこで何年も言われていたのが、「プロデューサー人材」が必要であるということだった。その要求は年ごとに高まっていたと思う。しかし、プロデューサーの定義も不明確なまま、育成策が見いだせずに(私としては)終わった。
独立してからも、プロデューサー人材の育成にはこだわり続けた。いくら高い技術を持っていても、一人では世の中の複雑な問題解決はできない。問題の本質をとらえ、複数の解決策の組み合わせで解決に導く能力を持ったプロデューサーが必要であることは疑うべくもない。そのような人材の育成に対するニーズはかなり多いのではないか。
遂に見つけたのが、この本である。何と2008年に出ている。
佐々木直彦著「プロデュース能力」(ビジョンを形にする問題解決の思考と行動):日本能率協会マネジメントセンター
私が購入したのは2013年2月に発行された第8刷である。購入したのは八重洲ブックセンターである。やはり、関心のある人は多いのだろう。
最初に出てきたのは、次の文章である。まさに私が求めていた定義である。
プロデュースとは
一つのビジョンのもとに、
人々の力を借りて「新しい何か」を創り出し、
現状を変えること
プロデューサ人材は、ビジョンを持たなければならず、それをもって人の力を借りなければならない。
それができるためにはどうするか。
ここで重要なのが、「プロデュース思考」である。これは、従来行われてきた「合理的問題解決思考」と対比させて示されている。私がなるほどと思った両者の違いは、判断基準である。すなわち、プロデュース思考では、その気になるかならないか、やってみるかやめておくか、が判断基準であるのに対し、合理的問題解決思考では、正しいか正しくないか、可能か不可能かが判断基準となる。もう一つの対比としてゴールがある。プロデュース思考のゴールは予期せぬ成果であるのに対し、合理的問題解決思考では予期される成果である。
技術進歩が速い一方で複雑な世の中の問題解決に必要なのがプロデュース思考であることがよくわかる。
プロデュース思考の鍵になる7つの質問がある。
(1)ビジョンは何か(自分は何をやりたいのか)
(2)なぜそのビジョンなのか(なぜ、それをやりたいのか)
(3)コアテーマは何か(突破口を開く鍵となるアイディアは何か)
(4)自分に何ができるか(自分の果たす役割は何か)
(5)誰に何をやってもらうか(誰にどんな役割を担ってもらうか)
(6)大義名分は何か(なぜこのプロデュースが必要か)
(7)付加価値は何か(どのような波及効果が生まれるか)
これらを理解するために、いくつかのCASEのストーリーが記述されている。これらがとても面白い。
さて、本書を参考にプロデューサー人材育成のカリキュラムを作るとしたらどうなるか。それをプロデュースしてみたい。
本書は、私の教科書として役立てたいと思う。
2013年12月13日
「プロデュース能力」遂に出会えた
posted by 石田厚子 at 16:10| Comment(0)
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