2014年04月01日

「GIVE & TAKE」でこれまでとこれからを考える

自分自身の読書の傾向としては、ビジネス書を読むことが多い。最近は、大学の講師として教える内容に関係しそうなものを選んで読む。直接関係のあるITビジネス関係のものではなく、学生が社会に出ていく上で知っておくべきこととしての「雇用」や「技術者倫理」の新たな理論である。これらは新鮮な感覚で学ぶことができる。
その中で「君たちはどう生きるか」的な本に時々ぶつかってしまい、戸惑うことがある。つまり、「もう遅いよ。今さらそんなこと言われても。」という思いと、「いや、まだあと30年は生きるのだから(そのつもり)意識を変える価値はある。」という思いが交錯する。

アダム・グラント著「GIVE & TAKE」(「与える人」こそ成功する時代):三笠書房
は、ちょっと自分の生き方について考えさせられる本だった。

監訳者が楠木建氏である。最初に監訳者の言葉があり、これがとても面白い。ここだけ読めば分かる、と言いたいところだが、やっぱり本体を読まないと腹落ちしない。それが分かっているからか、監訳者は先を読ませるように誘導している。

まずは、人間の思考を3つに類型化する。
1.ギバー(与える人)
2.テイカー(受け取る人)
3.マッチャー(バランスを取る人)
これだけだと、誰でも持っている3要素のように見えるが、そうではない。
1.の人は、「まず与える」。見返りは要求しない。結果としてかなり時間が経ってから自分によいことが来る。
2.の人は、「まず取ることを考える」
3.の人は、「見返りを得るために与える」「与えられたらお返しする」つまり、計算ずくということ。

本書で主張するのは、最終的に成功するのは1.のギバーであるということである。ただし、成功するまでには時間がかかる。
当たり前のように思える。多くの人たちがそう言ってきたようにも思える。しかし、本書では、多くの事例や研究成果のデータでそれを納得させてくれる。

さらに、後半では、ギバーがテイカーの食い物にならないためにどうするか、を事細かに述べている。

まさに、「君たちはどう生きるか」的な本なのである。

私は考える。自分はこの分類のどれだろうか。2.のテイカーとは思えない。他人から奪い取るようなことはとてもできない性格である。3.でもないだろう。あまり計算ずくで他人とつきあることがない。であれば、1.だろう。果して、私のこれまでの人生、それで成功したのだろうか。

結論から言えば、1.でなければもっとひどい人生になっていた気がする。
これから30年以上生きるとすれば(そのつもりだが)、その間に結果が見えてくるのだろう。であれば、これからますますギバーでなければならない。だって、みじめな最期は迎えたくないから。
posted by 石田厚子 at 10:54| Comment(0) | 本を読む