2013年12月17日

「ワイドレンズ」を読んで視界が開けた

イノベーションを実現するプロデューサー人材の育成について考え続けている。この人材は、例えばものづくりのプロや統計学の専門家のような、ある分野での一流の人材というよりは、そういった人材を集め、彼らの力を借りて、ビジョンを実現する人材である。まさに、今求められている人材なのである。

つい先日、「プロデュース能力」という本を読んでかなりの手ごたえを得た。そして、この本、
ロン・アドナー著「ワイドレンズ」(イノベーションを成功に導くエコシステム戦略):東洋経済新報社
 である。

「プロデュース能力」と一緒に八重洲ブックセンターで購入したのだが、本当にいい本が見つかった、と感激である。
前書きで述べられている、本書の中核となるメッセージ「どんな素晴らしいイノベーションも自社だけではもはや成功することはできない」こそが、プロデューサ人材、プロデュース能力の必要性を語っている。
しかし、同様のメッセージは、他のイノベーションを扱ったビジネス書でも言われていることで、特段目新しいものでもない。「ワイドレンズ」という言葉も「視野を広げよ」ということだし、エコシステム戦略だって、生態系で捉えよということで、システムで考えよということと大差ないように思える。
しかし、本書を読むと、それが非常に納得のいくまとめ方、プロセス、ツールの形で具体的に述べられ、なるほどそれでイノベーションが成功(または失敗)したのか、と理解できるのである。

ワイドレンズという言葉の意味は、死角を見逃すなということであり、死角にあるのが「コーイノベーション・リスク」と「アダプションチェーン・リスク」である。
コーイノベーション・リスクは、他者のイノベーションと協調しなければ自社だけでは成功できないときの、他者との関係から生ずるもので、掛け算で影響が出てくる。ひとつでも低いものがあれば全体の足を引っ張る。
「アダプションチェーン・リスク」はイノベーターからエンドユーザーに至るまでの関係者の連鎖であり、一番低い(弱い)ものが全体を決めてしまう。つまり、一か所でも切れればそこで終わりということである。
これらの二つのリスクをいかにして見出し、解決するかが、イノベーションを成功させる鍵となるのだが、本書では、とても分かりやすい、よく知られた事例を使って、納得いくようにそれらを述べている。

さあ、この本と「プロデュース能力」を読み返しながら、プロデューサー人材育成の方法を考えていくことにしよう。
posted by 石田厚子 at 10:15| Comment(0) | 本を読む